どんなセッションでも笑って振り返るマル秘テクニック

本ページは TRPGなんでも Advent Calendar 2022 の 21 日目の記事です。

今回は TRPG のセッションを笑って振り返るために私が普段心がけていることを書かせていただきたいと思います

そもそもセッションを笑って振り返る必要があるのか ?

答は「No」です。何でもかんでも笑いにすればいいというものではありません。元のシナリオがハッピーエンドで「良かったね」で終われたら、もうそれだけで楽しいじゃないですか。そこに笑いをわざわざ持ち込む意味が全く思いつきません。しかし、全てのシナリオがそうかと言われたら、これもまた「No」です。もしかしたら手痛い裏切りに会って酷い目に遭ったかも知れない。死んだ人は生き返らない。人生と同じで、シナリオもまた楽しいことばかりではないのです。そんな時に、その「楽しくなかったこと」を笑いに昇華することで、「やっぱりあのときのセッションは楽しかった」というイメージを持たせるために、一工夫を挟むわけです。

どうすれば楽しいセッションになるのか

ではどうすれば楽しいセッションになるのか。それは一言でいうと「相槌を打つ」ことに尽きます。相槌を打つことで、「あなたの話を聴いていますよ」というサインになります。その時にただ相槌を打つのではなく、一工夫を加えることでセッションは引き締まり、盛り上がるのです。

驚く

PC が格好よく何かをしたら、驚いてあげましょう。実例をいくつか挙げます。

ある PC が、クライマックスの戦闘で「ふんどし一丁になる」という演出をしました。GM をやっていた私は「何故そこでふんどし一丁!?」と驚きました。PL さんとしては「これが自分の考える PC の格好いい行動」だと思ってやっているのですから、そこをスルーしたら興覚めになってしまいます。

もう一つ例を挙げます。その時は、PC 的にコンビを組むことになる PL さんが TRPG が初めての方でした。その方が演じる PC は探偵。私はその弟分の少年工。探偵の PC が判定に成功して重要な情報を取ってきたとき、私は「おぉー、アニキすげぇ!」と PC に言わせました。結果、その PL さんは初めての TRPG を「楽しかった」と振り返ってくれました。無論私は心の中でガッツポーズ。TRPG を初めてやった人に楽しい思い出を持たせて帰っていただけた時点で、ある意味勝ちなのです。

煽る

これはちょっと高等テクニックで、PL 同士が仲良くないと難しいかもしれません。

さっきの、「TRPG が初めての方とご一緒したときのセッション」から例を挙げます。私たちの PC とは別の動機からシナリオに関わる貴族階級の PC を、私も何度か一緒に遊んだことのあるベテラン PL さんがやってくれました。そこで、シナリオ序盤、まだ PC 同士が無理に協力しなくても話が進む段階では、わざと捨て台詞を吐くなどしてから「アニキ、行こうぜ」と探偵の PC とともに去っていく、などの小競り合いを敢えてやりました。お相手の方がベテラン PL さんだったので、この辺りを懐深く受け止めてくれたおかげで、私もセッション後に「いやーあの小競り合い楽しかったです」と振り返ることが出来ました。

オンセのような顔の見えない状況下のときは、PC 間の煽りは少し慎重にやりましょう。ちゃんと「PC はこう言ってるけど PL は全くそんなこと思っていないし協力するよ」ということを伝えないと、トラブルになります。

設定を拾う

これもやや高等テクニックですが、一番大事なのは「自分の PC の設定はきちんと回収する」ことです。

私がある探偵の PC をやったときのこと。ヒロインが依頼料としてわずかばかりの金銭を差し出してきました。さて私の PC は、これを受け取るような設定をしていたかな、と考えます。そもそも自分自身はお金に困っていません。お金にがめつい設定だったら受け取ったでしょうが、自分でその PC を作ったときのイメージは「尊いお金と不浄なお金は絶対に受け取らない」でした。今、目の前のヒロインが差し出してきたのは、彼女が一生懸命働いて、ようやく手にすることが出来た、貴重なお金に決まっています。だから私は「受け取らない」という選択をしました。実のところ、その時遊ぶのは公式シナリオで、私も話の大筋は知っていたので、それを踏まえて「依頼料を受け取らない理由をちゃんと付けられる PC を作ろう」と最初から決めていたというのもあります。

次は他の PC の設定を拾ったケース。今度は私の PC が警官で、お相手の方は元警官で今は探偵。自分の先輩警官が何やらきな臭い事件に巻き込まれているのではないかと考えた私は、その元同僚に接触し、「先輩が何か大変な事件に巻き込まれていそうだから、元同僚のよしみで手伝ってもらえないか」と切り出して、無事に協力を取り付けました。ここでは「元警官なら先輩のことも知っているのではないか」「今は探偵をしているから、探偵としての正義感で困っている人を助けてくれるのではないか」という計算をしています。結果として「誰かに頼らないと事件の解決が出来ない」という自分の PC の設定も拾えました。

世界観を拾う

これは超高等テクニック。上級者向けです。

さっきの探偵 PC を私がやったときのシナリオで例を出します。クライマックスで、警官の PC が敵 NPC を逮捕したところ。敵 NPC が「私は軌道(トーキョーN◎VAにおいて、選ばれし者だけが行ける特別な場所)に行きたかったのに」と言ったのに対して「てめぇが行くのはブタ箱だ」と宣言します。これはこれで格好いい場面として流すこともできるのですが、私は変化球として「そう言えば軌道に良いブタ箱ありましたよね?」と返しました(無論 PC ではなく PL として)。これがトーキョーN◎VAの世界観を知っている他の参加者に大ウケして、笑いで一瞬話が止まりかけたので、「話の腰折ってごめん。続けて。」とすぐ本筋に戻しました。

ツボにはまるとかなりの笑いが取れるのですが、注意点としては「世界観を知らない人が付いてこられない」「みんなが笑い過ぎてセッションが止まることがある」ので、使いどころに注意しましょう。

ボケる・突っ込む

これも超高等テクニック。上級者向けです。

一例としてついこの間私が GM をしたシナリオで「アンデッドなのに『生きたいッ』」「スケルトンなのに『ぐは(とけつ)』」がボケのテクニック。

対して、「アンデッドだからもう死んでる」「何で骨が吐血するんだ」が突っ込み。あと、別のシナリオでは、NPC を見送った PC が「行ってらっしゃいでゲス~」とボケたところに「キミも行くんだよ」など。

他にも、「笑い飯」のようにボケにボケを重ねていく、ボケに一回乗ってから突っ込む(ノリツッコミ)などのもっと高度なテクニックもありますが、無理に使うとかえって雰囲気を壊すので、程々に。

とにかく相槌を打つ

大事なことなので 2 回言いますが、大事なのは「相槌を打つ」ことです。「やっぱりそうだよね~」とかごく基本的な相槌を打つだけで、「ちゃんとこの人も参加してくれてるんだな」というサインになります。上手な PL・GM とは PC・NPC の格好いいセリフをいうのではなく、「ちゃんとあなたの発言を聴いています」というサインを的確に出せる人なのです。

想い出をまとめよう

想い出を記憶だけでなく記録として残せるツールもあるので、そう言ったものを有効活用しましょう。

私がよく使うのは発言まとめメーカーです。

発言まとめメーカーのサンプル

記憶にも記録にも残る、楽しいセッションを。

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