TRPGは何故楽しいのか ?

本ページは TRPG Advent Calendar 2020 の 25 日目の記事です。

長年 TRPG をやってきましたが、 Advent Calendar に、しかも最終日に寄稿させてもらえるなんて光栄です ! 今回は原点に立ち返って、「そもそも TRPG って何なの ? 何で TRPG が面白いの ?」って話を書かせてもらおうと思います。

「TRPG」とは ?

そもそも「TRPG」とは「Tabletalk Role Playing Game」の略語です(これは和製英語で、英語圏では「Tabletop role-playing game」と呼ぶようです)。ザックリ訳すと「役割を演じるゲーム」という意味なので、「TRPG」とは「テーブルを囲んで会話をしながら、各々が役割を演じるゲーム」という感じになります。

※「Role Playing Game」は正式な英語であるというご指摘をいただいたので修正しました。また「TRPG」「会話型ロールプレイングゲーム」はホビージャパン様の登録商標と合わせて教えていただきましたので付記しておきます(2020/12/27)。

日本における TRPG の歴史

世界初の TRPG システムとして「Dungeons & Dragons」(以下、「D & D」)がリリースされた、という話については、多分聞けば諸先輩方が丁寧に(?)答えてくれるから割愛します。ここでは、主に日本国内の動きをザックリ解説します。

日本では、初めは上記「D & D」の和訳などを中心として、海外で作られた TRPG システムを和訳して遊ぶ、という時期がまず最初にありました。

そこに初めて、純国産の日本人向けの TRPG システムとして売り出されたのが、グループ SNE の「ソード・ワールドRPG」でした(ちなみにグループ SNE は現在では「ソードワールド2.5」を始め、TRPG の各方面で超有名なのはご存知の通りです)。私の TRPG デビュー作でもある同システムは、以下の2点で大変優れたものがありました。

(2020/12/25 訂正 : ソードワールドは純国産の TRPG として初ではないとのご指摘をいただきましたので訂正いたします。文庫サイズで初がソードワールドとのことです。ちなみに、RPGの要素を持つボードゲームとしてツクダホビー様より「クラッシャージョウ」、バンダイ様より「元禄忍者伝」などが、より本格的なテーブルトークRPGとしてツクダホビー様より「ローズ・トゥ・ロード」が、いわゆる「純国産」として「ソード・ワールドRPG」以前に発売されていたようです。)

  1. どんな判定も、(ありふれた)6 面サイコロが 2 個あれば判定できる
  2. ルールブック自体が文庫サイズで入手しやすい

上記のような敷居の低さに加えて、「レーティング表」というシステマティックなギミックも用意されていて、平易さと複雑さのバランスが(少なくとも当時日本で普及していた他の TRPG システムと比較して)絶妙だったと私は感じています。私見ですが、この「ソード・ワールドRPG」を契機に、日本国内に TRPG というものが加速的に普及したと感じています。

日本 TRPG 界の現状

その後も、国産・海外産を問わず、多くの TRPG システムが日本で普及しました。この辺りは年代を問わず多くの TRPG プレイヤーの共通認識だと思うのですが、いわゆる「卓M@S」動画の影響などもあり、現在は「クトゥルフ神話RPG」を始め、国産のシステムでは「シノビガミ」「インセイン」などが多くの人に遊ばれているように見受けられます。

「TRPG」は何故楽しいのか ?

システムは道具である(意見には個人差があります)

ここからが本記事の本題です。ではなぜ人は「TRPG が楽しい」と思うのでしょうか ? その前に、これだけは個人の意見として主張をしておきます。TRPG には様々なシステム・ルールがありますが、そのどれもが「あくまでも道具に過ぎない」ということです。何のための道具かは後で書きますが、ここをはき違えると TRPG を素直に楽しめないと思います。道具は道具でしかなく、その道具を如何に上手に使いこなして、楽しい時間を作り出せるか、これこそが TRPG の真骨頂だと思っています。

コミュニケーションを楽しむ

システムとは、つまるところ「コミュニケーションを楽しむ」ための道具に過ぎません(あくまで私の見解ですが)。道具を上手く使い、人とコミュニケーションを楽しむこと、それこそが TRPG の真骨頂ではないでしょうか。

いわゆる「ウチの子可愛い」も別に悪いとは思いませんし、それはそれで一つの楽しみ方として大いに結構なことだと思いますが、その根底にあるのは、キャラクターを演じる人間同士のコミュニケーションを楽しむことです。そこを外れてしまうと、結局のところ、その場は何とかなったとしても、後々まで一緒に遊べる仲にはならないでしょう。そこに人がいて、人として互いを尊重することが出来なければ、互いが持ち寄った PC も尊重できないし、禍根を残すことになるでしょう(これはとあるオンラインセッションを通じて私自身も感じたことです)。

今後の TRPG の在り方

オフセからオンセへ

今後の TRPG 界(とりわけ日本国内)を考えると、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するという観点からも、いわゆる「オフセ(オフラインセッション)」よりは「オンセ(オンラインセッション)」が中心になっていくのではないかと私は考えています。何より、離れていてもセッションという形で遠くの人と交流ができる、という意味では、(新型コロナウイルス云々を別にしても)これほど便利な方法はないでしょう。

一方で、オンセでは互いの顔が見えにくい分、弊害も少なからず存在はしています(顔を合わせないのを良いことに GM や他 PL の悪口を SNS 等に投稿する etc.)。しかし、そのような弊害に十分留意したうえでなお、オンセを行うことは、むしろ推奨されるべきと私は思います(ちなみに私自身は今年の 5 月にオンセデビューしたばかりです)。

新世代オンセツールへ

Adobe Flash Player のサポート終了に伴い、同機能に支えられてこれまでオンセ界隈を支えてきた「どどんとふ」は終焉を迎えます。しかし、オンセの灯を絶やさぬべく、既に複数のオンセツールが稼働しています。それらは Adobe Flash Player がなくても動作します。代表的なものを二つ紹介します。

(バージョンは執筆現在のものです)

一応、両者とも「どどんとふ」以外で私が使ったことがあるオンセツールです。これらのオンセツールはもちろんのこと、それらオンセツールを支えるダイス bot としての BCDice 様にも多大なる感謝を。

ともあれ、TRPG は楽しいのだ !

近年のオンセ事情なども加えつつ、あれこれ書いてきましたが、結局のところ、私が伝えたいことは「TRPG は楽しいよ ! みんなも TRPG を通していろんな人とのコミュニケーションを楽しもうぜ !」ということです。TRPG では誰もが主人公です。他者を尊重しつつ、あなたはあなたなりに自分のキャラクターを活躍させる権利を阻害されることはありません。同じシナリオを遊ぶにしても、そこにはあなただけのストーリーがきっとあることでしょう。あるいは、あなた自身が他者に対してそのような場を与える「ゲームマスター」になることもできます。人の数だけ、TRPG には遊び方があるのです。

TRPG は、自由だー !

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