面積が無限大なのに回転体の体積が有限になる例

これは 反例 Advent Calendar 2018 15日目の記事です.

面積が無限大なら, それを回転させてできる回転体の体積も無限大になると思うかもしれませんが, 今回はそれに対しての反例として, 古典的に知られているものをご紹介します.

積分 $$\int_1^\infty \frac{dx}{x} = \lim_{R \to \infty} \int_1^R \frac{dx}{x}$$ は収束しないことは有名ですね. これは領域 $$D = \left\{ (x, y) \in \mathbb{R}^2 \ \Biggm| \ x \ge 1, 0 \le y \le \frac{1}{x} \right\}$$ の面積が無限大であることを主張しています.

ところが $D$ を $x$ 軸を中心に回転させた回転体の体積 $V$ を求めてみると $$V = \pi \int_1^\infty \frac{dx}{x^2} = \pi$$ となり, 面積が無限大にも関わらず, 回転体の体積は有限という結果になってしまいます.

これは計算が間違っているわけではなく, 昔からGabriel's Horn(あるいは「Torricelli's trumpet」)としてよく知られているものです.

ちなみに表面積 $S$ についても $$S = 2\pi \int_1^\infty y \sqrt{1 + {y'}^2} dx \gt 2\pi \int_1^\infty \frac{dx}{x} = \infty$$ となるので, 表面積も無限大です.

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